長年にわたり、ヘルメットにスピーカーを埋め込んで、音楽を聴きながらバイクツーリングを楽しんでいます。
いろいろと試して行き着いた、高速道路を走っていても音楽を楽しめるヘルメット内蔵スピーカーのDIYを紹介いたします。
長年かけてわかってきた事
30年近くになる私のバイクライフにおいて、走行中に音楽を楽しむ機器は、ポータブルCDプレーヤーからメモリースティックタイプのMP3プレーヤーに変わり、いまではスマホなどのモバイル機器で音楽を楽しめる時代になりました。
プレーヤーは時代とともに変わりましたが、音を出すスピーカー部分のしくみや構造は、それほど変わっていません。
バイク用ヘルメットで音楽を楽しむのに最適なスピーカーを、過去に試行錯誤しながら探し続けた歴史とともに紹介します。
インイヤー(カナル型)イヤホンを使用していた時期
バイクに乗り始めて間もない頃、走行中に音楽を楽しんでいて、まず気付いたのはインイヤー(IN EAR)タイプのイヤホンは、ヘルメットをかぶる時に外れやすいこと、そしてイヤホンは長時間つけていると耳が痛くなることでした。
イヤホンでは周りの音も聞こえにくくなることから、数年後にはヘルメットへのスピーカー埋め込みを開始しました。
オンイヤーヘッドホンを使っていた時期
次に、耳に載せるタイプのオンイヤー(ON EAR)ヘッドホンを分解して使いはじめました。
スピーカーが格納されているハウジングが比較的に小型なため、ハウジングに包まれたスピーカーを、まるごとヘルメットへ埋め込むことが、簡単にできると考えたためです。
市販のバイクヘルメット用の埋め込みスピーカーも同じですが、ヘルメット内の耳の位置に、ぴったりと合わせて埋め込むことができたら、長時間聴いていても耳が痛くなることはありませんでした。
ただし音については、インイヤーイヤホンに劣ります。オンイヤーヘッドホン単体で試してみるとわかりますが、このスピーカーは耳に圧着されている状態で良い音を聴かせるものなので、スピーカーが少し耳から離れただけで、音が悪くなります。
では、耳に密着させればいいかというと、ヘルメット内でそのような位置にスピーカーを置いて当たりが強くなると、耳が相当痛くなります。
そのため、最終的には少し耳から離した位置に固定することになるのですが、オンイヤーヘッドホンではスピーカーの真価を発揮できないので、低音域が薄い音しか聴けません。
音圧も弱めなので、走行時の風切り音や外の騒音で 、音程がわからなくなるほど音楽がかき消されました。
市販のバイクヘルメット用埋め込みスピーカーを使ってみた
それから約20年後の、現在にいたる少し前のお話です。
フルフェイスのヘルメットを新調した時に、市販のヘルメット埋め込み用スピーカーを試してみました。通販サイトでも多くのレビューがついている有名メーカーのもので、その中でも重低音だとされているものです。
専用の物なので、今まで改造で試してきたものよりは音がいいだろうと期待していましたが、残念ながらオンイヤーヘッドホンを使った場合と全く同じで、低音域が薄い音しか聴こえませんでした。
入手する前に参考にすればよかったのですが、通販サイトのレビューでも、
- 音が小さい
- もっと低音がほしい
など、スピーカー本体を耳に密着できないことに起因するネガティブコメントが見られます。
市販の専用スピーカーを導入した結果はショッキングなものでしたが、オンイヤーヘッドホンに使われるタイプのスピーカーでは、風切り音に勝る音は出せないと確信する機会となりました。
オーバーイヤーヘッドホンを使ってみて大正解だった
耳に圧着させなくても満足できる音圧を出せるスピーカーとなると、耳をすっぽり覆うタイプのオーバーイヤー(OVER EAR)ヘッドホンのスピーカー部が使えそうだと考えました。
家にエントリーモデルのソニー製オーバーイヤーヘッドホンが余っていたので、分解してスピーカーハウジングをケーブルごと取り出します。
ハウジングが少し大きめなのでヘルメットによっては加工が必要になりますが、私のジェットヘルメットの窪みにはピッタリと収まりました。


これが、今まで試した中で一番いい音を聴かせてくれます。
静かな場所で停止していると、オーバーイヤーヘッドホンとまったく同じ音質です。
周りと遮蔽されていないので、走り出すと速度に応じて少しづつ音がかき消されますが、走行しながら音楽を聴くのには充分な音質が保たれます。
また、音質がいいと小さい音量で聴けるので、周りの音も程よく聞けて、結果として、より安全に運転できます。
まとめ
試行錯誤の結果から、ヘルメットにスピーカーを埋め込んで、高音質で音楽を聴きながらバイクに乗りたい場合、オーバーイヤーヘッドホンのスピーカーを使う選択肢が最適です。
ヘッドフォンは、家で使わずに放置しているものや安価なものの方が、改造(分解)に失敗した時の痛手も少ないですし、音質も有名メーカーのものであれば、エントリーモデルで充分です。
例えば、ソニーのMDR-XD150とか。
エントリークラスのオーバーイヤータイプのヘッドホンは構造が簡素なので、注意しながら作業すれば、はんだ付け不要でヘルメットに埋め込める状態まで分解できます。
ただしコードが長すぎるので、束ねるか、はんだ付けができるならば短く加工することになります。
大きめのスピーカーをハウジングごと埋め込むことになるので、ヘルメットによっては、場所を確保するための改造が必要になるかもしれません。
耳が痛くなるほどまでは密着させずに、耳の上下と前後位置に合わせて埋め込むことができたら、ヘルメットで聞いているとは思えない低音まで厚みのある音が聴こえます。
少し作業が必要ですが、完成した後には音で疲れることがないので、長時間ツーリングでもリラックスして楽しくライディングを続けることができます。