大自然でのキャンプ中でも、モバイル機器の充電などで電源が欲しくなることがあります。
また、暑さや寒さが厳しい季節には、扇風機やヒーターを使って温度管理がしたくなりまることがあります。
少数派かもしれませんが、電動ロティサリーや電動ヒーターなどで、アウトドアと小さな電力機器の融合キャンプを楽しみたい私にとって、なるべく苦労せずに電力を持っていくことは重要な課題です。
そこで、交流電源や発電機を使わないコンパクトなキャンプにおいて、大きく2パターンの消費電力に分けて、最適な電源についてまとめてみました。
電池の容量についての豆知識
本題に入る前に、バッテリーの容量について簡単にまとめておきます。
知っているよ!という方は、スキップしてください。
モバイルバッテリーなどを購入する時、「大容量10,000mAh」の数字が大きいものを選ぶことが多いと思います。
この、mAhやAhの単位で表される数字は「電力量」を表していて、電流(ミリアンペアもしくはアンペア)と時間(hour)をかけたものです。
例えば10,000mAhであれば、
- 定格電流200mAの機器は、50時間
- 定格電流500mAの機器は、20時間
- 定格電流1Aの機器は、10時間
まで、理論上は使うことができます。
ちなみにiPhone8の内蔵電池容量は約1,800mAhなので、10,000mAhのモバイルバッテリーから、理論上5回はフル充電できることになります。
定格電流ではなく、消費電力がわかっている機器を使用する時の計算例としては、例えば消費電力3Wの機器の外部電源として10,000mAhのモバイルバッテリーを使う場合の計算は
- 電流(A)=電力(W)÷電圧(v)なので、3÷5=0.6(A)=600(mA)
- 理論上の使用可能時間は、10,000÷600=約16時間
となります。
実際には、内蔵されているリチウムイオン電池の電圧(3.6~3.7Vに直列セル数をかけた電圧)からUSB出力5Vへの変換効率が約80%だったり、バッテリーが100%使いきれなかったりして、理論計算どおりにはなりません。
一回の充電で使いたい時間の目安として、モバイルバッテリーの理論上の使用可能時間の半分くらいに合わせて選ぶと、不満なく使いやすいと思います。
簡単な計算なので、使い方に合ったバッテリー選びの参考にしてみてください。
スマホなどのリチウムイオン(リチウムポリマー)電池を充電する
今ではスマホなどの充電される機器のほんどが、リチウムイオン(リチウムポリマー)のバッテリーを内蔵しています。
小型で効率のいいリチウムイオンバッテリーですが、過充電や過放電などで使い方を誤ると、電池寿命を縮めたり壊れてしまいます。
充電電力を供給する側のモバイルバッテリーやパワーバンクは、リチウムイオンバッテリー間で安全に電気の受け渡しをするための保護回路がついているものを選びたいです。
USB電源を使う機器
キャンプ中に、USBの5V電源で充電や作動させたいものを挙げておきます。
- スマホやタブレット
- ラジオ
- LEDライト
他にも、USB電源が使えたらキャンプで活躍しそうなものがあります。
- モバイルwifiルーター
- モバイルスピーカー
- ペグでの躓き防止用などのイルミネーション
- 小型ロティサリー(回転丸焼き機器)
- 小型扇風機
これらの機器の充電と電源に便利に使えるモバイルバッテリーには、容量や出力だけでなく、付加機能の違いにより様々な種類があります。
主にキャンプに持っていく目的で、モバイルバッテリーをいくつか使っていますが、代表的な3種類について比較を交えながら特徴を紹介いたします。
薄型モバイルバッテリー
充電可能な薄型モバイルバッテリーの多くは、リチウムイオン(リチウムポリマー)のバッテリー本体が内蔵されています。
容量に比例して大きく重くなるので、先ほどの計算式で使用目的に合わせた容量のものを選んで、荷物にならないようにしたいところです。
もうひとつ重要な点が、ほとんどのモバイルバッテリーが、スマホなどに内蔵のリチウムイオン電池を安全に充電する設計になっているので、1Aか2Aくらいの出力リミッター回路を内蔵していることです。
たとえば上の写真のように、最大2Aと書いてあるモバイルバッテリーの場合、合計で10Wを超える電力が必要なものをつなぐと、モバイルバッテリーの保護回路が働いて、使えません。
一方で、充電される側としても、タブレットなどで強力なバッテリーを内蔵している機器の場合、2Aでの充電を推奨しているものもあります。
そういった機器を充電する場合は、2A以上を出力できるモバイルバッテリーと2Aを流せる接続コードが必要になります。
ジャンプスターター兼用のモバイルバッテリー
車やバイクのバッテリーが弱ってしまいエンジンスタートできなくなった時に活躍する、ジャンプスターター用バッテリーです。
普段はモバイルバッテリーとしても使えて便利なので、私も愛用しています。
構造は基本的にモバイルバッテリーと同じで、追加機能として12Vへの昇圧ブースター回路を備えています。
ただし、ジャンプスターターとして使うと瞬間的に大電流を流すので、リチウムイオンバッテリーには負担がかかります。
ジャンプスタートは、どうしようもない緊急時だけにして、普段のキャンプでは少し大きめのモバイルバッテリーだと思って使っています。
円筒型リチウムイオン電池を使うモバイルバッテリー
円筒型リチウムイオン電池は、普通の乾電池に形は似ていますが、電圧は3.6~3.7Vなので、そのままで1.5Vの乾電池の代わりに使うことはできません。
多くの種類(大きさ)がありますが、LEDライトなどでよく使われている「18650」という規格のものの場合、最初の2桁が直径(18mm)、最後の3桁が長さ(65.0mm)を表しています。
少し厚みがありますが、この円筒型リチウムイオン電池を使用している、モバイルバッテリーがあります。
このタイプのモバイルバッテリーのメリットは、使われている円筒型リチウムイオン電池の素性が明確な場合には、容量や性能の諸元に安心できる点です。
たとえば、
- 〇〇製の2,000mAhの18650型電池を2本並列で使用
ということがわかれば、USB出力5Vへの電圧変換のロスを考慮しなければ、4,000mAhのモバイルバッテリーだとの計算が、自分で簡単にできます。
私の場合、有名ではないメーカーの激安モバイルバッテリーで何度か失敗した後に、有名メーカー製の18650電池を内蔵しているものを選び、現在でも性能を保ったまま使い続けています。
電池自体の直径が18mmあるので、リチウムポリマー電池を使った薄型のものよりも厚みがありますが、中身(電池自体)がわかっている安心感の方が勝っています。
小型のモーターやヒーターなどを使う時のバッテリー
ほとんどのモバイルバッテリーの最大電流が3Aだとすると、消費電力15Wを超える機器は、そのモバイルバッテリーでは使えないことになります。
キャンプで15W以上の電気を使う機器を使いたい場合、小型の車やバイクで使われている大きさの12Vバッテリーから電力供給すると便利です。
ただし、モバイルバッテリーと違って、充放電の監視や保護回路を持たないものが多いので、バッテリー残量などの管理が必要になります。
一般的な12Vバッテリー
入手しやすさでは、車やバイク用の鉛蓄電池が、安くて種類も豊富です。
キャンプで使う場合は、転倒させても液漏れしないシールドタイプを選びます。
12Vバッテリーの電極にメス側のシガーソケットを接続しておけば、5VのUSB電源が欲しい場合などに、車用の各種シガーソケット変換プラグが使えます。
ディープサイクルバッテリー
鉛蓄電池は、残量0付近までの使用とフル充電を繰り返すと、すぐに性能が落ちてしまいます。
それに近い使用方法になる場合は、少し高価になりますがディープサイクルバッテリーを選んで、バッテリーの寿命をのばします。
車やバイク用の12Vリチウムイオンバッテリー
最後に、車やバイクの鉛蓄電池の代わりに使える、リチウムイオンバッテリーの紹介です。
この電池の最大のメリットは軽い事で、キャンプでの持ち運びも楽です。
この種類のバッテリーは、内部のリチウムイオンバッテリーを過充電しないための保護回路がついていて、いつでも状態が確認できるように電圧計かインジケータもついています。
お手頃な値段になってきているので、キャンプだけでなく大きな消費電力の機器を使うアウトドアレジャーにおいて、12Vリチウムイオンバッテリーがますます便利になりそうです。